殺生丸に注視され視姦されていることに興奮し、己の手の中で質量を増した欲求の塊を一心不乱に擦り上げる。
もはや恥じらいも何もない。
「フッ、フッ、・・・」
荒くなる鼻息。
次第に込み上げる絶頂感。
だが突如、犬夜叉の体がビクッと強張る。
「!!ッ・・・」
陰茎を握る手に重ねられたひんやりと冷たい手。
犬夜叉の動きを制止させたのは殺生丸。
いつの間にか殺生丸はすぐ傍におり、驚き動揺する犬夜叉を余所にもう次の行動に移り始める。
仰向けになることを誘導するように犬夜叉の上に圧し掛かる殺生丸。
自慰を要求しておいて、あと少しのイイところで妨害。
何がなんだか分からない。
だけど。
この眺めは悪くない。
冷酷なのか慈愛なのか。澄んだ金色の眼が俺を見下ろす。
妖艶な姿。
無言無表情で自身の襦袢を脱ぎ払う。
その所作を俺はただ傍観する。
何か言おうにも言葉が出てこなかったのは急な展開に思考が追いついていないせいもある。が、本来“それ”を望んでいたからだ。
必然的にその先を期待する。
でもまさか、こんな。
「っ・・・アッ・・・」
「・・・ッ」
思わず声を上げたのは犬夜叉のほう。
殺生丸は自ら犬夜叉を受け入れたのだ。
慣らしもせずいきなりの挿入。
殺生丸は苦しげに眉を寄せている。
反対に犬夜叉は突然の超絶的な快感に今にも爆ぜそうな自身を抑制するのに必死。
気遣ってやる余裕がない。
ズグッ
「ゥアッ・・・!!」
急な深い侵食。
今度は殺生丸から声が上がる。
犬夜叉がその腰を掴み、自らの腰を強く打ち付けたのだ。
だって自分から乗ってきたんだろう。
相手の様子に構うことなく犬夜叉は律動を開始した。
「ハッ、ハッ、ハッ・・・」
「ァ・・・ッ・・・ハッ・・・」
突き上げられるたび殺生丸の前髪が規則的に跳ねる。
犬夜叉の陰茎が最初から精に濡れヌルついていたおかげでキツくてもそこを傷付けることはない。
程なく速度を増す重い抜き差し。
一層強く腰を打ち付けたとき殺生丸の腹の中で犬夜叉の飛沫が溢れた。
ヌチュ・・・
ゆっくりと結合を離すと、殺生丸の開かれた脚の間から精が零れ落ち大腿をドロリと伝う。
殺生丸を見れば辛そうに眉を僅かに顰めている。それなのにやはりその眼は妖しく澄んで綺麗な笑みを浮かべている。
底知れぬ怖さと美しさが相俟って魅入られたように惹かれる。
「・・・っ」
「!!・・・ッ」
犬夜叉はグイと乱暴に殺生丸を抱き寄せた。
倒れ込む殺生丸を抱き留めながら体位を反転させ、圧し掛かるように口付ける。
呼吸が整わないままの接吻。
互いにひたすら舌を絡ませ口付け合う。
「ハ、ハァ、ッ・・・」
窒息しそうなほど貪りながら思う。
転がされてるのだと。
自分は殺生丸に。
いつからか、どこまでか。
どこまで計算どおりなのか。
最初から?
否、もう、出逢ったときから?
殺生丸を翻弄して征服しているのは自分のつもりが。
本当は殺生丸の支配の中で俺は赦され転がされているのではないだろうか。
どっちにしたって一つ明確なのは。
俺は何があったって殺生丸を手放す気なんかないってことだ。
これでも大事にしてんだ。
だから 弥勒。 お前には渡さない。
お前に殺生丸は扱えねえよ。
俺は金輪際、この件をお前にも誰にも口にしない。
殺生丸に免じて見逃してやるよ。
今まで通りてめえのチャラけた下ネタにも付き合ってやるよ。
知らぬ存ぜぬで小芝居しようぜ。互いに。
だが 二度目はない。
この肌に触れていいのはお前じゃない。
俺なんだよ――――――――
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