ふと、奴の言葉が思い出された。
『満足か』
・・・俺はあの時、・・・一瞬何か引っかかったんだ。
怒気を含まない静かな声だった。
ああ・・・そうか。
あの時の奴の眼だ・・・ “ 満足か ” そう言って俺を見据えた眼は――――
哀しい色をしていた。
奴は俺を見下していたわけじゃない。俺を・・・憐れんでいたんだ。
あの人間の子供を殺さなかった事で、勝手な見解で相手をなじり・・・ワケの分からない嫉妬じみた感情からこんな行為に及んでしまった。
きっと殺生丸は悟っていたのかもしれない。
こうなる事を。
察していたんだ。
見通していた。俺の胸中を。
相手を無視して事を急いても、思い通りになどなるはずもない。
殺生丸にだって心が無いわけではないのに。
ズタズタにしてしまった。
何て稚拙で愚かな行為。
俺は馬鹿だ。
痛い。
痛い・・・俺は胸をぎゅっと押さえた。爪が食い込み、血が滲み出した。
痛い。・・・この奥が、イタイ・・・
空っぽの心。
少しも満たされない。
成就なき、渇愛――――――――――――・・・・・・
|