「・・・ならばせいぜい抗え・・・・・・!」
「!・・・ッは・・・アッ・・・っ」
死神鬼は、再び激しく殺生丸の身体を弄り始めた。
先程よりも暴力的な行為に、息が詰まる殺生丸。
「・・・っ殺生丸よ・・・ッあの世で後悔するが良い!・・・このまま貴様を貪り尽くした後、心臓を貫き亡骸を放ってくれるわ・・・クッ・・・あの半妖の泣きっ面が目に浮かぶ。」
「ッ!!・・・ッ」
死神鬼の無情な杭が殺生丸を貫いた。
殺生丸は、朦朧となった。
裂けている箇所は激痛の熱を引き起こしているのに、揺さ振られる身体は冷え切っていて己の体温を感じない。
毒の支配か、妖力の欠乏か、指一本動かせない。それなのに痛みだけが引き立って意識が混濁する。
体が・・・冷たい―――――・・・
どれ位の時間が経ったのか。
・・・どうやら自分は生きている。
やはり途中から意識が飛んだらしい。
体中が痛い。
血に、・・・精に、汚れた身体も襦袢もそのままだ。・・・足に嵌められた鉄輪も。
起き上がれず、放置された状態のままでいると、声がした。
「気付いたか・・・」
・・・死神鬼。
「貴様が気絶した後も存分楽しませてもらった。意識の無い体も中々良い・・・」
狂っている。
「・・・殺すのではなかったのか。」
「・・・・・・気が変わった。己の命に頓着の無いお前を殺したとてつまらぬ。・・・わしは・・・貴様ら兄弟が絶望に喘ぎ苦しむ姿が見たいのだ。」
「・・・・・・」
「もっと恐怖に怯えた眼でわしを見ろ・・・わしの力に屈しろ・・・」
「・・・・・・」
そんな日は待っても来ない。
殺す。
殺生丸の胸中をそれだけが駆け巡った。
――――――― 死神鬼は、行為を途中で止めていた。
殺生丸の挑発に乗り手酷くその体を求めはしたが、殺生丸が意識を失った事に気が付いた時、すぐ行為も止めていた。
本当に殺してしまっては元も子もない。・・・あまりに屈しない殺生丸に一瞬本気で責め殺してやろうかと思ったが、簡単に死なれては雪辱を果たしきれない。
これ以上の低温も身体が持たぬと判断し、腹を刺した時に仕込んだ毒の解毒妖薬も既に裂傷部より挿入してある。本来口から含むものであったが、意識を失っていては飲み込めないので、つまり座薬として用いたのだ。
それから死神鬼は、毎晩殺生丸を閉じ込めた部屋を訪れては、陵辱を繰り返した。
半月・・・二週間程は経っただろう。
日中は解放されるが、それは単に回復の時間をわざと持たせて、また殺生丸の身体に新しい傷を付ける時間を楽しむ為だ。
ただ、足の鉄輪はずっとそのままなので、足首は擦り切れ血が滲み、痣になっている。
殺生丸は努めて感情を押し殺し、体と心を切り離し、相手がどれだけ自分をなじろうと決して屈せず己を保ち、その非道な陵虐に耐えていた。
だが、殺生丸はずっと機会を計っていた。
体内の毒は、完全に浄化されている。もちろんそれは死神鬼が解毒を施したからであるが。
依然妖力は制御されたままではあるが、昨夜の行為の傷も癒えている。
あの男の行動は連夜の行為で読めている。
薄暗いこの部屋の隅にある燭台の蝋に灯を燈し・・・抵抗をせぬ己の体を我が物顔で貪るのだろう。
機会は一度きり。
返り討ちに合ったとて、殺す。
今夜―――――――
深夜。スッと戸が開く。
中へ入り、燭台に灯を燈した死神鬼は横たわる殺生丸の傍へ寄った。
「殺生丸。」
「・・・・・・」
「・・・眠っているのか。」
「・・・・・・」
返事が無いのは常だが、いつもは自分が訪れる前には半身を起こしており、目を細めて鋭くこちらを見やるのに、この夜は背を向ける形で横になったまま反応が無い。
「・・・殺生丸。どうした・・・・・・ついに精根尽きたか?」
問いかけてもやはり反応は無い。銀糸のような髪が床へ散ったまま・・・
「殺生丸・・・?」
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