残 -ZAN- 5P
一瞬だ。一瞬で終わる。この爪を振りかざせば。 酒の霊力に蝕まれどんどん身体の力が抜け痺れていく。やるなら今しかない。 躊躇う必要はない。全ては己の為。今までだってそうしてきた。 それなのに出来ない。 この男を殺せばあの仲間たちはきっと・・・そしてりんも・・・ 犬夜叉の顔が頭をよぎる――――――――― 「・・・どうせ人間(わたし)のほうが先に逝く身です。貴方にしたらほんの僅かな時間の戯れに過ぎない。だから・・・」 「ッ・・・」 殺生丸は弥勒の言葉を遮るように力の限り弥勒を押し退け、爆砕牙の柄に手を掛けた。 だがすかさず弥勒は傍に立て掛けていた錫杖を手に取り、剣に手を掛けた殺生丸の手に振り下ろした。 「・・・っ・・・まったく・・・往生際が悪いですねえ・・・・・・もう貴方に出来ることは何もありませんよ。大人しく私のものになってください。・・・今この中で爆砕牙など使えばどうなるか分かりませんよ。貴方は無事でも私は死んでしまうかもしれません。結界と妖力が拮抗し衝撃波で貴方だって死にはせずとも無傷では済まないでしょう。」 「・・・・・・」 殺生丸の手から血が滴り落ちる。 結界で傷付いていた手を念の入った錫杖で叩かれ、傷が深くなってしまったのだ。右手はもう使い物にならない。 「諦めてください。」 「・・・ッ・・・」 弥勒は殺生丸の腕を掴んで強引に抱き寄せようとするが殺生丸は抵抗し、その拍子によろめいて扉のほうへ倒れ込みそうになった。 弥勒の体にはなんら障り無くとも扉に全身など触れれば殺生丸は。 「ッ!!」 「!!ッ・・・・・・っ・・・」 咄嗟の判断で弥勒は掴んでいる殺生丸の腕をグンッと強く引き、床へ投げ飛ばすようにしてその体を放り自らも反動で倒れた。 ちょうど相手を組み敷くような形となり、弥勒は殺生丸を見下ろす。 「・・・ツ・・・ッ・・・」 倒れたとき蓮台にぶつかったのだろう。 殺生丸のこめかみからは血が流れていた。 気付いた弥勒は殺生丸の顔に触れようとするが、殺生丸は顔を背け自分に圧し掛かる弥勒を押し退けようと抗う。 この状況でも自分に屈服しない殺生丸に弥勒は苛立ち、殺生丸の左右の手首を掴みダンッと床に押さえ付けた。 「ッ・・・」 「・・・ああ、痛かったですか?・・・スミマセン。・・・妖怪の貴方が人間ごときがちょっと乱暴したからってこんな簡単に傷付くとは思わなくて加減をしませんでした。・・・でも忘れていた。この結界の中弱った貴方では怪我の治癒が遅れる。」 「・・・・・・ッ」 「それにしても・・・案外、脆いんですね。身体。」 「・・・貴様・・・・・・ッ」 「闘っているときの貴方とは別人のようだ。」 そう、別人・・・・・・高潔だと思っていた貴方があんなに激しく犬夜叉に抱かれてあんな声を出して。 とんだ淫乱かと思えば、あくまでこの自分の事は断固として拒絶する。 妖怪のくせにやたら高貴で気高くて堕落させてみたくなる。 弥勒は殺生丸の両手首を床に押さえ付けたまま口付けようとするがやはり顔を背けられ、その耳元に優しく囁いた。 「・・・・・・貴方と犬夜叉の事は知っています。・・・あの夜の前から。あいつはいつだって貴方にぞっこんだった。そういった経験があるものならばどんな風に相手を欲しているかは見ればすぐに分かる。・・・・・・でも貴方が犬夜叉に堕ちるとは思っていなかった。」 「・・・・・・」 「・・・今夜限りの戯れでかまわない。・・・私の望みも叶えてくれませんか・・・あれからずっとこの身の熱を持て余したままなんです・・・」 「・・・・・・ッ」 「・・・無駄ですよ。こんな震える指じゃ欲情した人間の男に勝てやしない。」 「ッ・・・」 「・・・それに貴方に私は殺せない。」 「・・・ッ・・・法師・・・ッ」 「・・・・・・法師ではありません。弥勒です・・・」 「・・・や・・・め・・・ッ」 「呼んでください。弥勒と・・・」 結界の中酒の霊力に蝕まれいよいよ弱々しくなる抵抗をいいことに弥勒は殺生丸を完全に押し倒し着物の衿を広げ、その首筋に甘噛みするように接吻した。 「・・・・・・良い香りがしますね・・・」 「・・・・・・」 殺生丸はもう抵抗を止めた。 許したわけではない。 この男を殺せないのなら抵抗など無意味だ。 それに急激に意識が混濁してきて、もはや動けない。 酒の霊力が全身に廻ったのか。 それとも言葉と共に念でも送られているのか。 惨忍な仕打ちをされているというのに、裏腹に時折みせる優しい扱いと憂いある眼に魅入られて何故か逆らえないような支配すら感じる。 もう自分はこのまま――――――――― 目は見えているのに意識が遠い。 いつの間にか解かれた飾り帯。外された鎧。 殺生丸は人形のようにされるがままだ。 弥勒の手が襦袢を捲り上げながら大腿から腰骨までを撫で上げ、弄る。 周到なことに弥勒は更に膏薬や香油まで用意していた。 殺生丸の足を抱え上げ自らの首に掛けると浮かせた腰から尻の割れ目へと手を滑らせ、手にとったそれを殺生丸の秘部に塗り込む。 そのまま指をゆっくり挿入し掻き回すように解しながら前後させ、慣れてきたところでもう一本指を挿し入れた。 膏薬のせいで濡れた秘部からは弥勒が指を動かす度にグチュ、ヌチュ、グチュ、と卑猥な音が聞こえる。 「ァ・・・ッ・・・ァ・・・」 「・・・意外とキツイですね・・・中・・・慣れているかと思ったのに。・・・・・・それとも犬夜叉がソノ程度なんでしょうか・・・?」 弥勒はわざといやらしくクスリと微笑し、甘く囁いた。 「・・・もっと楽にしてください・・・」 「・・・ゥ・・・」 言いながら三本目の指を入れたとき殺生丸は苦しそうに小さく呻いたが、弥勒はかまわず三本の指を深くへ挿入し内側から肉壁を押し拡げた。 「ク・・・ゥ・・・ッ・・・ゥアァッ!!」 殺生丸の身体が突如ビクッと引き攣る。 無理に拡げた僅かな入口の隙間から、弥勒が直接香油を流し込んだのだ。 |
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