屈辱的な要求。
当然言いなりになるはずもなく応じない殺生丸。

「開けって言ってんだろ。・・・これからお前の潔白を確かめんだからよ。」

犬夜叉は襦袢の裾を更に捲り上げる。
ますます露わになる脚。

「俺の気の済むようにさせてくれんなら・・・お前の言葉信じてやってもいいぜ。」
「・・・・・・」

気の済むようにだと?
冗談ではない。
今の犬夜叉は何をしでかすか分からない。
殺生丸は縛られた腕に力を込める。

「・・・逃げるなら逃げてもいい。そんな縄、お前なら毒爪でどうにでも外せるだろ。けど、そうしたら弥勒との事は肯定と取る。」

普段駆け引きなど皆無のくせに何故こういうときだけ頭が回るのか。
上手い言い回しで従わざるを得ないよう誘導する。

本来ならば他人が己をどのように思おうと関心はない。
以前ならば犬夜叉とて例外ではなかった。
だが、いつからかこの半妖の弟を――――――――

こんな理由で関係が終わるのも。
弁解しない己にも非はあるが在らぬ疑いを掛けられたままというのも。
許せない。

ならばもう思うようにさせるしかない。
この半妖の沸いた頭を鎮火してさっさとこの件を終わらすには要求を呑む他ないだろう。

殺生丸は苦渋の思いで僅かばかり脚を開いた。

「・・・・・・好きにしろ。」
「・・・へえ・・・?・・・今の言葉忘れんなよ。“俺の気の済むまで“だからな。」

狡猾な手段で常とは逆転した主従関係を作り上げ、犬夜叉は不敵な笑みを浮かべた。

「ほら、もっと開けよ。」
「・・・・・・」
「チッ、もたもたすんな!」
「!!・・・ッ」

あからさまに渋々嫌々な態度で先程よりは大きく開かれた脚。それでも頭一つ分程度。
そんな様子に苛立った犬夜叉は膝の内側に手を掛け、強引に大きく割り開いた。

「ッ・・・」

限界まで開脚させられた脚。
苦痛と屈辱が相俟って殺生丸は犬夜叉をきつく睨み付けた。

「フン。」

どれだけ鋭い視線を寄こそうと関係ない。
殺生丸は抗えないのだから。
犬夜叉は鼻で笑い、殺生丸の脚を自身の肩へと担ぎ上げる。

「全部見えるぜ。」

股間を凝視する犬夜叉。
今更犬夜叉に見られたところでどうとないが、まさかこんな風に身体を暴かれるとは。
殺生丸は今にも縄を解き目の前の男を殺しかねない己の衝動を必死で抑えた。

「・・・そういう反抗的な眼をされると余計に苛めたくなるんだよなあ・・・」

余裕の笑みと欲に満ちた眼。
これからされることを覚悟し殺生丸はなるべく身体の力を抜こうとする。
だが、その前に予想外の衝撃に襲われた。

「ッ・・・!!・・・ア・・・ッ」

犬夜叉がいきなり二本の指を殺生丸の中に挿し込んだのだ。

「・・・っ」

更に奥まで捩じ込まれる指。
いつもならば唾液で十分濡らしてから挿入するし犬夜叉の舌がそこをねっとりと舐め上げたりもするが、今は。
何の潤滑も施されていない異物を突然挿入されたも同然だ。
殺生丸は苦痛に眉を顰める。

きっと犬夜叉は犯すかのような滅茶苦茶な交合をするつもりなのだと思った。
だが、もっとじっくり嬲るつもりなのだろう。

「・・・キツイな。」
「っ・・・」

指を付け根まで入れたまま探るように中で動かす犬夜叉。

「ゥ・・・ッ」
「・・・けど、いつもよりは緩くねえか?・・・それに何か・・・ヌルついてる。」
「!!・・・」

殺生丸は目を見開く。
嫌でも思い出す弥勒との事。
先刻まで散々弄くり回され拡げられたそこ。
妖力が完全に戻っても弥勒の欲望を思うまま刻まれた蕾は普段より幾分柔らかく、大量に流し込まれた香油も体内に残ったままだったのだ。
しかも香油は妖力が戻ったことで毒としての成分は浄化され、本来の媚薬として効能を発揮し始めている。

熟した果実のように潤った殺生丸の肉壁に犬夜叉は弥勒との情事が紛れも無い事実であることを実感した。

「力抜けよ。」

低い声で呟くように発せられた言葉。

「ッ・・・ア・・・ッ・・・」

同時に開始された抜き差し。
幾分か柔らかいとはいえ、筋肉で強く絞られた箇所。
まるで突くような激しい動きに、すぐにそこは悲鳴を上げる。
引き攣れて痛い。
顔は平静を装っていても、容赦なく繰り返される無機質な動きが犬夜叉の内の激情を表している。
殺生丸はぐっと耐えた。

「・・・随分辛そうな顔だな。何時の間にそんな演技身に付けたんだ?」

ようやく指が抜かれ、放たれた言葉と冷たい目線。
赤く血の滲んだ蕾を見ても犬夜叉は平然としている。

「感じてんだろ、ほんとは。」

感じているのは苦痛だというのに、とんだことを言い放つ犬夜叉。
殺生丸はカッと怒りを示すように睨むが、犬夜叉は嘲笑うように口端を吊り上げ指摘する。

「てめえの体よく見てみろよ。」
「!?・・・!!」
「半分勃ってんじゃねえか。酷くされんのがイイのかよ。」
「違・・・アァッ!!」

再び二本の指を突き入れる犬夜叉。
殺生丸の茎は確かに兆しを見せていた。
痛みを感じているのは本当。
だが、殺生丸の中の快い部分を把握している犬夜叉の巧みなそこへの刺激と肉壁に染み込んだ香油の媚薬。二つの相乗効果で身体は得た快楽に否応なく反応してしまっていたのだ。





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