かろうじて意識は保っているが、もう自力では足腰の踏ん張りが利かない。
殺生丸は犬夜叉に支えられる形で四つ這いのままぐったりしていた。
血と精にまみれグチャグチャになった秘所。
散々の酷い抜き差しで緩くなったそこから白濁が溢れ、筋になって肌を伝い落ちている。
「・・・もう出たろ・・・」
「・・・・・・?・・・」
「あいつのは・・・」
「・・・・・・」
独り言のように呟く犬夜叉。
ああ、そういうことか。と殺生丸は朦朧とする意識の中ぼんやり悟った。
犬夜叉は殺生丸の中の有りもしない弥勒の痕跡を塗り消す為に、自身も限界だろうに意地でこんな朝まで行為を続けたのだ。
まるで野生動物が自分の縄張りや所有物を誇示するかのように。
もちろん殺生丸への折檻が目的でもあるが。
「・・・クソ、だりーな・・・」
そう言うと犬夜叉は殺生丸の身体を抱え上げるように反転させ、荒々しく元の体勢に戻した。
「っ・・・!!」
痛みに殺生丸の顔が歪む。
例え意識を失っても四つん這いでいたほうがましなのだ。
犬夜叉はそんな殺生丸を尻目に立ち上がると入口のほうへ歩いてゆく。
とにかく犬夜叉が己から離れたことに安堵し、殺生丸は目を閉じた。
だが、途端にけたたましい物音。
ガチャ、ゴト、と音のするほうを見れば犬夜叉が散乱した道具をあさっている。
これ以上何をするつもりなのだろうか。
何にしても嫌な予感しかない。
殺生丸の背筋をゾクリと悪寒が走る。
「多少錆びてっけど・・・ま、いいよな。どんな毒も菌もお前には効かねーんだから。」
近付いてくる犬夜叉が怖い。
その手に持つ物。
「・・・いっそ孕んじまえばいいのによ・・・」
拷問のような交合のせいで裂け、腫れている粘膜。
どんな刺激も激烈な苦痛にしかならないだろう。
それを判っていながら犬夜叉は殺生丸の両脚を左右に開き、最初のときのように自身の両肩へと担ぎ上げる。
下半身が宙に浮いた状態の殺生丸。
「ッ・・・犬、夜叉・・・・・・」
与えられる更なる痛みを予想して恐れを隠せない面持ちで犬夜叉を見つめるが、犬夜叉は殺生丸の顔など見もしない。
殺生丸は身を捩ろうとするが力が入らず、肩に乗せられた足だけが少しばたついただけ。
「!!・・・ァ・・・!!」
硬い先端が中へと押し入れられ殺生丸の身体が強張る。
「・・・無・・・理だ・・・!・・・ッ」
ズブブ・・・
悲痛な抗議を無視して、それをゆっくり体内へ納めてゆく犬夜叉。
「ア・・・ゥ・・・ッ」
狭い腸壁を拡げながら進む無機質な鉄棒。
おそらく何か農具だったのだろう。その壊れた柄らしき部分で犬夜叉は殺生丸を嬲り始めたのだ。
張形代わりに丁度良いすりこぎのような形状をしているが、陰茎よりも太く長い。
「・・・無理じゃねーだろ、一晩中ヤってたんだから中だってガバガバだろーが。全部ぶち込んでやるよ。」
殺生丸の体の負担を一切無視し、犬夜叉はゆっくりと着実に杭を埋め込んでゆく。
「ゥ・・・ッ、ゥ・・・ッ・・・ァ・・・」
あまりの責め苦に殺生丸の身体がのたうつが、犬夜叉は手のひらで残りを全て押し込んだ。
「ッ!!!!・・・――――――――――」
限界を超えて奥深くまで侵入した杭に一瞬息が止まったようにビクンと身体が麻痺し、殺生丸は気を失った。
どれくらい経ったのだろう。
陽が射しても薄暗い納屋の中、目に入ったのは犬夜叉の姿。
己から離れた正面の位置で胡座を掻き目を閉じている。
「・・・・・・」
ようやく気は済んだのか。
腕は頭上へ括られたままだが、身形は整えられ襦袢をきちんと着せられている。
だが、そうではなかった。
「・・・・・・っ」
意識がはっきりと覚醒してゆくにつれ認識する下腹部の異物感。
「ウ・・・!!」
身じろいだ途端、突き抜ける激痛。
殺生丸は鉄棒を挿入されたままだったのだ。
「ッ・・・ハ、ァ・・・ッ」
殺生丸の乱れた息遣いに、犬夜叉は目を開けた。
「ハ・・・ッ」
「・・・・・・」
意識が戻ったのが分かると立ち上がり、殺生丸の前へ行きしゃがみ込む。
「もう寝んなよ。・・・・・・俺が赦すまでそうして座っておけ。」
「・・・、・・・ッ・・・」
「返事。」
「・・・ゥ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
下腹部の重い圧迫から呼吸すら辛い。
パシッ
「聞いてんのかよ。」
犬夜叉は殺生丸の頬を軽く平手打ちする。
パシッ
「ゥ・・・」
すると殺生丸は予想外の言葉を口にした。
「・・・犬夜叉・・・、・・・腕を・・・・・・」
「あ?」
「腕が痛い・・・」
「!!?・・・」
犬夜叉はあまりにも驚いて目を見開いた。
耳を疑うような台詞。
見れば縛った両手も確かに酷いことになっている。
「・・・・・・苦しい・・・・・・」
「―――――・・・」
続けざまの信じられない言葉。
弱りきった掠れた声。
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