俺は・・・

責める相手を間違えているのだろうか。

合意でのことじゃない。
そう確信できるほどには殺生丸のことを解っているつもりだ。

でも嫉妬はする。
その肌から弥勒のにおいがした途端、内から爆発的な怒りが滾って自分を抑えられなかった。
認めたくないが妖怪化すると俺には強すぎる血の妖力に自我を失い狂ってしまう。
それでもまだ僅かな理性が働き殺生丸を引き裂かずに済んだのは最初に会ったとき鉄砕牙を携えていたからだ。

皮肉だな。
親父の血に狂わされ、それを止めるのも親父の牙である鉄砕牙。

中途半端な妖怪化のせいで妙に冴えている思考。

そして嗜虐的に試した。
俺への愛情を。
相手の性分を熟知した上での狡猾なやり口。

殺生丸は絶対引かない。
だから死ぬまで俺の気の済むようにさせるだろう。

それを利用してこんなことをするのは卑怯だと分かっていてやった。
結果見事に俺の要求に服従した殺生丸。

それでも。

今だって許せない。
どうしても解せない。

合意などありえないのに、合意以外はありえないからだ。

殺生丸が人間に抑え込まれるはずはない。
仮に弥勒が本気で法力を使ったところで適う男じゃない。
だいたい何で弥勒が殺生丸を?
ついに男にまで手を出すようになったのか。
否、違う。
そんな生半可な気持ちじゃない。相手が殺生丸なら。
だとしたら。
弥勒の本気の情愛を受けて・・・?
いいや、ありえない。
殺生丸はそんなことに流されて不貞を働いたりしない。

だったら何故。

嫌なら逃げればいいだけのこと。
それが出来ないはずはない。

どんなことを仮想してみてもおかしすぎる。

「・・・・・・」

・・・分っかんねえ・・・
けど・・・

もう鬱憤を体に叩き付けようなどとは思わない。
今度はちゃんと話を聞きたい。
本当の事を。







納屋に戻った犬夜叉は毅然とした足取りで殺生丸に近付いた。
鉄砕牙を傍らに置くと暫く様子を見つめる。
もはや自分が近付いても何の反応も返さない殺生丸。

「・・・オイ。」

声を掛けても反応はない。
変わらず苦しげな弱々しい呼吸音だけが聴こえる。

「・・・・・・」

一先ず埋めた杭を抜いてやらねば。
犬夜叉は殺生丸の襦袢を捲り開脚させると腰を抱え上げた。
何の抵抗も示さない身体。

確認すると本来硬く閉じているはずのそこは無惨に真円に拡がったまま。
縁取るように鉄の塊に張り付いた粘膜。

「ッ・・・」

自分のしたことの惨さに犬夜叉は動揺した。
執拗に加虐したせいで感覚を失ったのか。挿入が深すぎたのか。
塞き止めるものがなくても生理的排出がなされず埋まったままの杭。
犬夜叉はやむを得ず既に裂けているそこをそれ以上刺激しないよう慎重に指先を挿れ、少しずつ引っ張り出してゆく。

全てを抜き終えるとまだ口を開けたままのそこからドロリと注いだ精が流れ出す。

ボタッ ボタッ ボタッ

床へと零れる重量のある滴。

「・・・・・・」

犬夜叉は抱え上げている殺生丸の腰をそっと下ろし、頭上で括った縄を解いた。
腕が解放されたことで支えを失った身体がぐらりと傾くが咄嗟に抱き留め、横たわらせる。
あとは両手首を縛った縄だけ。
そのときの怒りの程が見て取れるほ幾重にも巻き付けた縄。
それを解ききったとき犬夜叉の胸に罪悪感が込み上げた。
激烈な苦痛との葛藤がその手に現れていたからだ。

食い込んだ縄。そこに俺からの暴力的な性行為。
乱暴に体位を変える度捻じれて皮膚を抉る。
痣と酷い擦り傷で血塗れの手首。

赤の滲んだ白い襦袢。
乱れたままの髪。

こんなはずではなかった。

「・・・ッ・・・んでだよ・・・・・・」

何で弥勒と・・・・・・!!!!

犬夜叉は再び爆発しそうな怒りをぐっと抑え、その身体を抱き起こそうと屈んだ。
だが、ふと気付く。
先程よりも濃くなった血の匂い。

「・・・・・・」

屈んだまま目線を下へ向ける。

「あ・・・・・・」

捲ったままの襦袢から覗いている大腿に幾筋もの赤。

「ッ・・・!!!!」

殺生丸の脚の間から拡がり、あっという間に血だまりが出来てゆく。
一晩中暴行を受け、体内の許容を超えた異物を無理矢理捩じ込まれたせいで殺生丸の内臓は重傷を負っていたのだ。





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