男色の気も無ければ当然男を組み敷いたことなど一度もない。
でも貴方を前にして勃たない男などいるのだろうか。
何もかもが魅惑的で本能的性欲を掻き立てられる。
初めて知る肌の質感。
思いの他細い腰。
しなやかな脚。
「・・・ッ・・・」
ごく小さな反応しか見せないが、嫌がっているわけではない。
こういった行為に慣れている。
「ァ・・・ッ」
おそらく相手は犬夜叉なのだろう。
二人のことはとうの昔に勘付いていた。
殺生丸はどうあれ犬夜叉の解り易い言動。よくもまあ堕とせたものだと感心すらしていたが。
今は少し嫉妬すら覚える。
人間とは違う陶器のような肌。
どんなに乱れても絡むことのない美しい髪。
闇の中でも光る深く澄んだ蜜色の眼。
幾度この体を開いたのか。
犬夜叉とはどんな風に。
半妖のソレはそんなにイイのか。
「!!ッ・・・っ」
乱暴に突き上げると、急な衝撃と苦痛に殺生丸は身を硬くした。
女のように・・・否、それ以上に丁寧に扱い優しく繋げ、馴染むのを待って緩やかな抜き差しを繰り返していたが、犬夜叉との事が頭をチラついて一気に付け根まで埋めてしまった。
仄かに紅く染まった目元。
中途半端に脱がせた着物から覗く素肌。
相手の何もかもが艶かしく、その色香に悩殺されて眩暈すら覚える。
本分は法師でも私とて本質は所詮ただの男。
所有の証を植え付け己のほうが優性であると誇示したくなる。
でも愛情が伴っているということも伝えたい。
そう思い口付けようとしたが、唇が触れる前に僅かに顔を逸らされた。
「!・・・」
気のせいかともう一度試みるが、今度は判りやすく顔を背けられた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
乙女じゃあるまいし。
「・・・可愛らしいことなさるんですね・・・」
心はあくまで犬夜叉の元にあるということか。
勘違いするな、と。
そう言いたいのか。
「・・・煽るだけですよ。そういう態度。」
顔を近付けるとやはり顔を逸らされたが、その顎を少し強めに掴んで上向かせた。
ゆっくりと唇を重ねるがもう抵抗はなかった。
味わうように口付けながら舌先でじわじわと口を抉じ開け、強引に捩じ込んだ舌で相手の舌を絡め取り口内を弄る。
すぐに噛み切れてしまいそうな薄い舌を堪能するうち甘い痺れを覚えて挿入したままのそこに熱が集中する。
接吻だけでもう。
危うい感覚に口を離した。
その顔を見れば埋まったまま増した質量が辛いのか、苦しそうに眉を顰めている。
それでもその眼はどこまでも冷たく澄んでこちらを見据える。
ああ、駄目だ。
本当に好きになってしまいそう。
「・・・動きますよ・・・」
来ない返事を待つ必要もない。
「ッ!!・・・ッ・・・ア・・・ッ・・・ァ・・・ッ」
急な律動にきつく目を閉じ喘ぐ殺生丸。
その様子が更に征服欲を掻き立て欲情させる。
これでは犬夜叉でも誰でも貴方に夢中になる。
湧き上がる嫉妬と独占欲。
深い挿入を繰り返し執拗に奥を突く。
妙な意地も出てくる。
この行為において負けたくない。
私の持久力と貴方の忍耐力と。互いの耐久性をこのまま試そうか。
それにしても。
いつまで経っても冷たい肌。
おそらく妖怪(あなた)の性質がそうなのであろうことは察したが、どれだけ熱を注いでもひんやりと冷たい相手の身体に苛々した。
熱く燃え上がっているのは自分だけ。
仮にも温もりを得るつもりが、与える側になってしまっている。
それが無性に不安にさせ苛立たせる。
気に食わない。
持久戦のような交合。
体力の限りに激しく腰を打ち続けた。
やがて迫り来る抑えきれない感覚。
外さなくてもいいよな。
子が出来るわけじゃないんだから。
相手の中で膨張する欲望の肉塊。
「ァ・・・ッ・・・」
「ッ・・・」
躊躇なくその奥深くで熱を放った。
「・・・っ・・・」
「ハ・・・」
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