「アアアアアッ!!!!」

青白い稲妻が四方に飛ぶ。
容赦なく殺生丸を苛む刀の結界。

意識を失いかけるぎりぎりのところで体を離した。

「ハァ、ハァ、ハァ・・・ッ」

解放されても辛そうに呼吸をする殺生丸。
結界をまともに受けて重度の負担が掛かったのだろう。
よろけて崩れそうになる体を木に預け、こちらを鋭く睨んだ。

「ハァ、ハァ・・・ッ・・・貴様・・・ッ!!」
「・・・・・・」

苦しそうな殺生丸を見つめながら俺は言霊の念珠を外した。
かごめが向こうの世界に戻ってからこの念珠は自分でも外せるようになったが霊力は変わらない。
放置したままでいるといつの間にか俺の首に戻っているから。
だから言霊は無効でも強い霊力の宿ったこの念珠は妖怪のお前にはきっと。

俺は念珠を殺生丸の胸に押し付けた。

「ッ!!!・・・ク・・・アッ・・・!!」
「・・・・・・」

やはり想像以上に霊力がこたえるようだ。
とうとう殺生丸は膝を着いた。

その様子をどこか他人事のように傍観しながら更に腹を思い切り蹴り上げた。

「!!・・・カ・・・ハ・・・ッ」

少しの加減もなく蹴ったから鎧は砕け殺生丸は無様に蹲っている。

「ゴホッ、ゴホ、ゲホッ・・・ハ・・・ッ」

咳き込んでいるそこへ今度は背中、足、肩、腕、と容赦なく蹴りまくる。
反撃する隙なんか与えてやるものか。

いよいよぐったりしてきたところで馬乗りになり、平手で思い切り殺生丸の頬を叩いた。

「ゴホッ・・・」

切れた口内から血がしぶき口端から顎へ伝う。

「・・・爆砕牙・・・使わねえのかよ。」
「ハァ、ハァ・・・」
「・・・聞いてる?」
「・・・ッ・・・」

まあ使えねーよな。俺には。
甘い奴だ。
最初から。
そうでなかったらとうの昔におふくろもろとも俺を消している。

俺は口付けるように殺生丸の血を舐め取った。

「!!?・・・ッ」
「・・・・・・ほんと甘いな。」
「犬、夜叉・・・・・・ッ」

驚愕と嫌悪に見開かれる眼。

身を起こそうとする殺生丸の首に念珠をかけ、外そうとする手を押さえ付けながら素早く脱いだ自分の赤の衣で両手首を後ろ手に縛り上げた。

「・・・な・・・にを・・・」
「・・・もう分かってんだろ。」

俺は仰向かせた殺生丸の着物の襟を力任せに左右に引き剥いだ。






暴力の延長のような荒っぽい抱き方。

「アアァッ!!」

閉ざされたそこへ欲望の塊を無理矢理捩じ込んだ。

「ア・・・ッア・・・ッ」

思いのままひたすら腰を打ち付ける。

相手には抵抗の色も反撃の兆しもなかった。
まだ身体が全快していないところへ俺からの度重なる暴挙。
抗う体力を奪われ訳も分からず朦朧としながら苦痛に耐えている、といったところだろう。

一層主張するソレを苦痛が増したことで感じたのかもしれない。
激しい揺さ振りの中でどうにか逃れようとする腰。
男なんだから腹ん中ぶちまけたってどうってないだろ、別に。
俺はその腰を強く引き寄せた。

「ゥアァッ!!」

限界を超えた侵蝕に殺生丸から何度目かの掠れた悲鳴が上がる。
俺は殺生丸にかまうことなく己の仕上げに掛かった。

「ッ・・・ィ・・・殺生、丸・・・ッ」
「アッ・・・ァ・・・ッ・・・!!」

痺れるような感覚。
欲求を遂げる熱が相手の中で一気に弾けた。
あまりの快楽に余韻で体が震える。

満たされた本能と征服欲。
引き抜くと殺生丸の身体から力が抜けた。

さぞや怨みがましい眼を向けるだろうとその顔を覗く。
だが殺生丸は半ば放心状態で俺と目を合わせることなくその目は閉じられた。

「オイ、・・・」

殺生丸は完全に意識を失っていた。

「・・・・・・」

見れば酷い有様。
当然だ。

とにかく此処にこいつをこのまま放置は出来ない。

放っておいても死にやしないだろうが血のにおいに他の妖怪どもが群がってきたらやっかいだ。

散らばった荷を掻き集め、殺生丸を抱え上げた。









そうしてこの廃屋に殺生丸を連れ込んでからだいぶ経つ。

「・・・・・・ひでえな。」

我ながら随分と惨忍な事をしでかしたもんだ。

血に汚れた肌と破けた着物。
未だ無数に残る痣。
対照的に綺麗な髪。

犬夜叉は手にしていた鉄砕牙を床に置いた。

「・・・・・・」

少しの間じっと殺生丸を見つめ、そっと手を伸ばした。

あと少しで指先がその髪に触れる。

そのとき殺生丸の肩が微かに揺れた。


―――――・・・っ」
「・・・・・・」
「ゥ・・・」





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