宿り花 -ほんとは半々、されど愛おしきは- 12P
犬夜叉は再び上体を起こすと乱暴な所作で自らの袴の帯を解き、火鼠の衣と半襦袢を素早く脱ぎ捨てた。 半ばずり落ちた袴からは既にいきり立った自身が覗いている。 殺生丸の脚に先走りの雫が零れ落ち、ヌラヌラと濡れ光る。 早く熱を投じたい。 性的欲求が全身を支配する。 着崩れ、はだけた胸元。 今にも見えそうで見えない乳房。 屈み込み、着物の上から胸を揉み押し上げると美しく色付いた乳頭が見えた。 「ッ・・・犬夜・・・ッ」 「ハ・・・ッ」 思わずしゃぶり付く。 そのまま愛撫しようと思ったが、よれた襟がじれったく邪魔だ。 バッと力任せに着物と襦袢の合わせを開いた。 「!!・・・」 「殺生丸・・・・・・」 露わになる豊満な胸。 殺生丸の美しさと相まって想像以上の艶めかしさ。 体の奥がジンと痺れるほど悩殺される。 これまでと違い、明らかに自分の胸を直視する犬夜叉に殺生丸は初めて戸惑いを感じた。 露出させられた胸。 犬夜叉の遠慮のない視線。 羞恥からなのか、怒りからなのか、殺生丸は右腕でなんとか下の襦袢だけでもたぐり寄せようと合わせを掴み胸元を隠そうとした。 だが犬夜叉はその右手を地へ押さえ付け、同時に覆い被さる。 「ッ・・・やめ・・・・・・」 急に怖くなったわけじゃない。 でも今初めて知ったような犬夜叉が居る。 肌を合わせたのは初めてではないのに。 自分の知った半妖はこんな男だっただろうか。 それほどがっしりした体型でもないのにしっかりと厚みを感じる胸板。 逞しい腕。 下半身に感じる犬夜叉の濡れた肉塊。 殺生丸は押し退けようと抵抗するが、敵わない。 「犬夜叉・・・・・・ッ!!」 抵抗する殺生丸を余所に犬夜叉は首筋を舐め上げる。 「・・・今更遅ぇよ・・・」 犬夜叉の熱を帯びた低い声。 「殺生丸・・・」 耳たぶを舐めながら囁くように名前を呼ぶ。 「・・・ッ・・・ン・・・」 唇、瞼を彩る紫、額の蒼い三日月・・・一通り口付け終わると胸へと移る。 すべらかで豊かな膨らみを指が食い込むほど強く揉み上げ、吸い付くように桜色の先端を口に含み舌先で執拗に舐める。 女を抱きたいと思ったことなどない。 そう思う前に俺には殺生丸がいた。 ずっと殺生丸だけだった。 これまでにかごめや珊瑚の水浴びに何度か出くわし、欲情したことがないと言ったら嘘になるがそれは生理的なもの。 自慰のときはいつだって殺生丸を妄想し夢中で自身を扱いた。 遠い過去・・・肌を重ねたあの夜を何度も夢に見る。 でも今、その相手の身体が女なのだ。 初めての経験も殺生丸で初めて抱く女も殺生丸。 こんなに幸せなことはない。 「・・・ハ・・・ッ、ハァ・・・殺生丸・・・っ・・・」 「・・・ッ・・・ア・・・ァ・・・ッ」 貪るような激しい愛撫。 犬夜叉の牙が肌に当たる度、ゾクリとする。 「・・・犬夜叉・・・ッ」 圧し掛かる熱い体の重みが息苦しい。 それなのに肌に食い込む犬夜叉の手が心地いい。 殺生丸は無意識に右腕を犬夜叉の首に回していた。 ますます興奮を煽られた犬夜叉は殺生丸の腰帯を引き解き、襦袢もろとも着物を退けた。 合わせが左右へ流れ、成熟した殺生丸の裸体が犬夜叉の目に映る。 もう殺生丸に抵抗の色はない。 どこで覚えた訳ではないが何をどうすればいいのかは知っている。 犬夜叉はやや上体を起こし自分の人差し指と中指、二本の指をねっとりと舐めた。 その仕草はいやらしく男の色気に満ちている。 殺生丸は一瞬恍惚となった。 胸に口付けを落としながらそっと殺生丸の中へ挿し入れられる指。 「っ・・・!!」 殺生丸は身を強張らせた。 それでも指はゆっくり奥へと侵蝕してゆく。 「・・・痛い・・・?」 「ア・・・ッ・・・」 囁くような犬夜叉の甘い声。 身体をしならせ喘ぐ殺生丸を抱き込み愛撫しながら犬夜叉は中の指をゆっくり抜き差しする。 これまでになく優しい犬夜叉の指の動き。 熱い。 首にかかる犬夜叉の吐息も。 指を増やされた中も。 何もかもが熱い。 苦しいくらい熱いのに、この先が欲しい。 ・・・もうこれでいい。 迷いながらもこうなることを奥底で望んでいた。 元の身体に戻る為に。 |
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